体温を奪われた儘眠り込む
  氷の洞の冷たき社



鬱蒼と茂る青葉の葉脈に
  蛾が巣食いたりだらんと力無く



(しじみ )回転しつつ気に消ゆる
  実に優雅な消失の仕方



暮れて行く無駄な一日明日はまだ
  始まって来る気配も無くて



肉体が規定して来る欲望に
  服従したる日の恥と快



長々と引き延ばさるゝ一日の
  代替可能悩める虫の日



漂流す波間の板の上の鳥
  傷付いた翼未だ治らず



陰鬱な声と顔とに応へたり
  私の屍体は誰が喰ふのか



二つの輪回転数に耐へ切れず
  重なり合へる白き消滅



ざっくりと切った西瓜が脳の様
  脳漿の如き汁が流れる



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