出奔す一個の玉と成った我 世界の中心目指し転がる |
降りる駅間違えたのかまた我は 引き返すにも終電も無く |
前輪に猫の死骸を巻き込んで 路面電車の行く島に住む 北の海ではオーロラが忘れる |
ありふれた小さな「ごっこ」の中にまだ 宇宙はあるか神秘はあるか |
優しい悪夢が今朝もまた 我の言葉を掻っ攫う 子供達には小さな調べ 目覚めた者には巨大な死 |
固まったゼラチン状の朝不快 この物憂さは寝不足の所為かカネの所為か |
イヤな汗かいて広がる曇り空 ぐわんと我の頭を打つか |
気懈さが足の先まで滲み込めり 腐って固くなるりんごの芯 |
気の抜けた散るゝばかりの乱気流 鈍い忘却うっすらとぼやけ |
吐き気にも上等下等はあるものだ 両目細めて不快に耐える |