顕微鏡模して作った万華鏡
  同じ対象ばかりくるくる



絵葉書を結局書かず終いの夏
  何が復すと期待した訳でなく



あの時の出逢い取り戻さんとする
  試み空し何度読んでも



手にはまだ書き込んだ時の記憶有
  再び遠く成りゆく宇宙



野晒しの古びた椅子に無雑作に
  腰掛けて見る死につつある街



遠い空幾度も隔てらる宇宙
  放心しつつ目は離せぬ儘



救済はどうでも良くて腐る午後
  書斎の隅に丸めた試案



ちっぽけな流れ確かに掴まえて
  俯き綴るひっそりちまちま



窓越しに私に向ける眼差しに
  眼差し返す何時迄も何時迄も



穏やかに見えて激しく動く壁
  季節と云ふ名の閉じ込める境界



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