正視さえ出来ぬ眼差し避け続け
  私は一体何に成るのか



対象の主客の「外」にあるものと
  言ってしまってから言い直す
    千変万化したる言い訳



他者と云ふ名の強制を導入す
  肉体の枷ガチガチに固く



内面化したる法令憂鬱が
  力(さら )ってゆく秋の空



ぼんやりと軋みが奏でる曲を聴く
  街の雑然一掬いする



赤い目を擦り開いたウィンドウ
  途端に消える私の反転



深山にぱたり途絶えた水の音
  生きた儘の血を暫く見ない



清冽な流れ亡骸葬って
  暫し微睡む木の瘤の陰で



切株に座って凝っと山猫の
  足跡を見る拓かれた雪



確率の美を教へたるパスカルに
  今だ戸惑う足が躊躇う



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