ぎとついた油塗れの満ち潮の
  海に頭痛が酷くなりけり
    反吐が出そうな灰色の港
      出る船の無し来る船の無し



ふつふつと沸いて来る波限り無く
  何を待つでもなく数十億年



ぎりぎりと気圧のひずみ脳を()
  どうにも斃れた儘の精神



順繰り*を兼ねて季節を巡り行く
  逆巻く風はぐったりと重く



食堂の裏手から来る悪臭に
  猫となりたし黙って逃げたし



おずおずと風がうろつく濁り空
  汚い街の汚い風景



線条の理念辿って異世界へ
  卵の殻を剥いてゆく夜



花が咲く花に成ろうと細胞を
  延ばす花の形に成り行く



胸を張り歩く真紅の混沌を
  舌舐めずりして味わう様に



谺するヘリの爆音跳ね返る
  距離にうわんと世界が歪む
    地平求めてふらつく次元






*この3字、確かならず。


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