黒鳩の喉を掻ッ切る退屈で
  死にそうな日の小さな愉しみ



頸の骨折ってやりたくなる小犬
  ちょこまかとさも(せは )しそうに散歩



死者の羽毟って捨てて陳列す
  何処に眼鏡を落として来たか



降って来る外在化されたかなしみを
  受けて暫く無言の私
    笑うことしか知らぬ唇



同じ名を使い苦しむ違う顔
  立てた仕切りを掴む手冷たく



ぎっしりと未練を詰めた知恵袋
  死者を葬る術知らなくて



利用者の消えた駅中巣食いたる
  小さな影をそっと見守る
    動かず凝っと時代が過ぎる



チカチカと小煩い花踏み潰す
  明るく 小さく イヤな イヤな イヤな花!



昨日今日取り違えたる首持って
  どんな名前を付けようか悩む



狂暴な光今こそ眠れども
  何時目覚めるか宣告を待つ
    所詮無力で臆病な私



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