狂乱す光る竜巻地平線
  焦がして遠く猛き神の手



我なれど我ならぬ身の奴隷となりて
  人称不在の返事繰り返す
    何処から何処まで私は私



がりがりと削る歯の奥ぽっかりと
  虚無が笑って口開けていたり
    吸い込まれてゆく鏡の眼窩



熱放つ機体の周りに集まって
  革命会議の(いか )る面々
    大気の核に白蟻の豆



独占を禁じるこれも貪欲な
  欲深共の(けだもの )の声
    開戦前夜の不様な欲望



地味で下らぬ退屈が
  殺意掻き立て頭を狭む
    労働社会に閉じ込めらるる日



拷問が続いて繋ぐ日常に
  リズムは無くて沼は底無し
    日に日に鈍磨してゆく頭脳



藤の花咲いて約束した出逢い
  裏切って尚美しく咲く



少年を我等の墓に供えたり
  何処で欠落埋めるや未来



生きらるゝ時間格差の正体を
  知りたくないかそれもまた消ゆ
    段々薄くなりゆくリズム



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