失はる未知の明日を懐かしむ
  昨日オリオン座は出ていたか



復活を待ち侘びる目が恐ろしく
  書棚の陰に隠れたる我
    雨が閉じ込む静寂を聴く



陰惨な橋の下には太陽が
  転がってゐたりやる気無くして



マントルにぎちりと流る火の玉を
  私のお腹に詰めて丸まる
    乾いて熱く脈動してゆく



あの我の腐爛屍体が七色に
  光り透明な流れを下る
    確かに対決したる感触
      この手に残っている筈の未来



黒い牛角を掴んで振り回す
  閉鎖恐怖の残党追って



淫猥な仮面の隠すタブー哉
  破れた衣装に魔の手が伸びて



空舞った鷹の数だけ夕焼けが
  闇雲連れて歩く黄昏



星空に近い将来想像し
  途端に冷めてゆくパラノイア



幻燈を淡く照らして沈み込む
  光幾重も重なり合って
    透かし見る月ぼんやり静か



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