殺戮も洗練されれば舞となる
  古来の知恵は残酷で優しい



(つるぎ )を枕に寝る少年の
  頬をひと撫でして舌舐めずり
    旨し小麦の色した肌の
      先ず何処に角突き立てようか



下卑た街浅き眠りを貪る頃に
  鉤爪研いで散歩に行こう
    殺して食べて呑み込みに行こう
      顔も名前も形も世界も



偶然を必然に変え食屍鬼に
  なるぞ今夜は忘却の宴だ
    斧を持て(つるぎ )を持て
      片っ端から皆殺しだ



遠巻きに落日を見る燃え上がる
  世界に黒い影が浮かぶ
    破滅に消える前だ莫迦奴が



胃の腑よりずるり這い出す混沌が
  のたうち回る枯れ色の虫
    びくびく藻掻くのをぐしゃりと潰す



塔の窓赤く燃ゆるは何の色
  今宵の宴の舞台作るか



全篇(これ )ト書きと化した文章を
  憎み余りて我等の墓標



眩暈するさらば遠くに鱗雲
  (いびつ )な夢が風と流れて



段々と層を成したる畳雲
  きちんと区分けされた大空



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