飢えて生肉に齧りつきたい
    獲物はナイフか斧が一番
      鮮烈な赤が生命を呼び起こす
        星は見えずとも月は消えない
          今宵も素敵な呼び声を聞き
            殺戮散歩に出掛ける積もり
              地獄の季節は実に楽しい!



照らし出された狂宴の
  直中に立ち血を啜る
    冷えた嬰児はまだ柔らかいか
      骨は白くて健康な骨か



ばりばりと骨を齧った後の歯に
  残る血の玉ぺろりと舐めて
    首を呑み込む目玉もろとも
      腹で脹らむ世界の絶叫



昨日殺した名も知らぬ
  人間の骸足元に
    落とすぼちゃりと鈍い水音
      腐った川にゴミクズの肉



階段に照って眩しい午後の日に
  我等の贄は裸で舞えり
    くるくる くるくる 健康な肉体
      くるくる くるくる 美味そうな肢体



白い肌汁気含んで柔らかく
  食指をそそる鎖骨と肩甲骨
    赤い切り口さぞ似合いそう



若さ故ケチな殺しのひとつやふたつ



透き通る凍った空に白い月
  形射抜いた太陽の専横
    こちらを見てみろこの太った骸を!



白くむくんだ世界に抗し
  斧で一撃真闇の咆哮



浮ついた蛾の繭の端(ねじ )り上げ
  中身をぶちゅっと潰して出して
    緑の汁をずずずと啜り
      苦い舌先鋏でじょきん
        秋の食卓は味覚艶やか



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