幾重にも偽装工作した姿
  ぐるぐる巻きの透明人間



キツネ目をしたる妖魔が黄昏に
  追って来る来る落ち葉舞わして



濃淡が消えた世界で唯一人
  稲妻を待つ橋の上で
    禍々し色ぐっと染み込む



罪悪感に怯んだ様な
  空の真下で海が砕けり
    永劫迎えて身を投げ出せり



狼狽へて星の彼方に顔を見る
  我と夜空との捻れた関係



じっくりと煮込んだ拒絶釜の中
  何に仕立てるのかはお好み次第



アルコール燃やして残る虫の死骸
  赤いピンセットで分解をする
    支配の快に高まる興奮



抗えぬ光の渦に酔い痴れて
  盲目となる目の更に奥
    底に眠れる静かな闇



調整の未だ取れぬ身体 (からだ )動かして
  とにかく本を読んでみる夜
    どうにも仕様の無い境界時



火の中に消えた夕陽を目で追いつ
  更なる愚劇の観客となる
    幾らでも汲む幻滅の美酒



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