透けた夜定かならぬ日が昇る
  胸のデモンは居座った儘



しずしずと職場へ向かう死者のごと
  南の朝日あれは現実か



()っすらと剥がれる朝の肉片の
  前立った儘我の悪臭



国会を前に腑抜けた拳持つ
  我の肩には無知と無関心



境内の躑躅 (つつじ )の蜜を吸い荒らす
  子だった頃の我の青い血



逝き遅れ今年三十になりにけり
  次の季節まで何して遊ぶ



我の子か奇怪な顔を覗き込む
  星のひとかけ赤く燃えたり



蛆虫と赤子の競宴皆もまた
  これらの変奏なりやと思ふ



黒の城詰まる下水の様な春
  あの塊を誰か破壊しろ!



黒雲の如き彼女の瞳には
  謎がぎっしり詰まってゐるか
    神秘への扉が開いているか



inserted by FC2 system