爽やかに世界覆へる暗雲を
  仰ぎて我の墓標に蒲公英 (たんぽぽ )



影の招びに我応ず
  記憶されざる夢の中
    復した死者が声を得る也



指先の糸に絡まる蜘蛛がゐて
  やさしき巣を張りたり 涙



宿命のKrankheit受け入れる
   重層の雲無言で漂う



影が濃くなりゆく秋の入口で
  佇む私何処へ行こうか



嬉しいか色々あって嬉しいか
  空にはまだまだ名も知らぬ星か



水彩の滲んだ様な千切 (ちぎ )れ雲
  逆行したる二重の扉



数分で消える作品質料は
  まだそこに在れど二度と戻らず



漠とした花火の後の様な闇
  夕寂 (ゆうじゃく )に我を忘れて祈る



煌々と輝く廊下病室の
  前で佇む 夕立ちの気配



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