うねる白のたくり回るカンバスの
  動きを憎む! 憎む! 憎む!



明星を視界に捉へ暗い道
  歩ける我の両肩に霜
    求心 (ぐしん )せらるる世界の孤独



一点に宇宙の裂け目開きたり
  覗いた赤い顔に既知感



クリームで割った大気にぽっかりと
  浮かぶ半月白々と西



草臥れた天鵞絨の夜うるさくて
  傾いた月無言で嗤う



巨象の尻に噛み付く犬に
  声援送る美事に死ねと
    ———だが生き残る? 片輪になって?



食感を楽しむアイスの官能に
  人は殺せないだろうと呟いてみる



きりきりと軋み唸れる乳母車
  余りの不快に谷底へ落とす



蚯蚓腫れの様な飛行機雲の線
  半端に始まり半端に終わる



忘れ物したかの様に落ちて来る
  赤光に我咽びて詫びて



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