本棚と化した寝床に転がって
  感触を知る美しき嘘



なだらかな指の軌跡を飽く涸れて
  大空へ跳ぶ露衣 (つゆごろも )纏う



静かに沈め奥底深く
  悲鳴上げるな舌ひっこ抜け
    死んでゆきつつある肉体がひとつ



沈む空端に氷れる暮れの(こう )
  睨める塔のてっぺんに猫



馴染めないクラスに何時も居る感じ
  せめて書斎で日記を書こう



氾濫に混ざりて流る猫の死骸
  雨に紛れて鳥も見向かず



文献に残らぬ名共(かへり )みて
  しばたかす目は極度の近視



諦めた様に降り込む重い雨
  選挙当日の天空の夢想



竦む海鉛色した閉塞に
  星空見たいと(ねが )ふ幼子



凍る朝乱舞雲
  白鳥が飛び立ち始める時間帯
    天いっぱいの朝焼け狂う!



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