鋭敏になった知覚で頬に刺
  感じる朝の滅亡と誕生



錯覚に慣らされた知性ひたひたと
  酸蝕されてゆく創造力



凪の日の死に切れずまだ動いてる
  街の風景曇天の下



お茶を飲む彼等の墓の前に腰
  下ろして今日は明日 (あした )に乾杯



身動きをせずに止まった暗光 (あんこう )
  中でくぐもる「今は今かー!」



(しろがね )に撒き散らる雪眩しくて
  カーテン閉める手が震えている



罪状の認否を問はず嬉しげに
  処刑台へ行く汚い勝利



格子窓覗けば庭に赤い花
  優しい白痴の手にスコップと釘



休日のビル街に響く拍子木の
  音に合わせて揺れる波紋流
    既に終わった世界に独り



陰々と我が手見詰むる日曜日
  接した肌の柔らかな起伏



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