燃えるよな捻れ巨魁の輪郭が
  白い夕時ぽかんと空ろ………



鬱血をしたるが如き日記帳
  出だしは何時も目覚めで始まる



風吹いて虹の雫が揺れてゐる
  湖畔に漂う静かな溜息



霧雨にしとどに濡れて山を行く
  閉じ込めらるる現在の檻



封をして忘れた筈の螺旋の書
  宇宙が見える生命 (いのち )が囁く



爪弾いたギターの単音凝っとして
  響和する我拡散する身体



鳴り止んだベルの音色の名残り呑む
  道の鈴蘭我と歌へり



三階の窓辺に立った白い影
  冷たい微笑が失敗を告げる



更に花重ねて()める白い夜
  開いた声が真夜中を告げる



夜光浴び不穏に光るビル群の
  上に真ッ暗な烏一羽



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