次々と消えて沈める言の葉を
  一顧だにせず書き進む我………



我もまた愚かな民の一に過ぎぬ
  記憶重ねて消し去れぬ枠



もくもくと地を薙ぎ倒す噴煙の
  中に見えたる我の卑小さ



愚昧の連鎖に()()は無くて
  余りの無知に発狂寸前
    素晴らしい世界に生まれたものだ



腹の中湯舟に浸かって掻き出して
  私は今だにこちらの住人



雨の前ふっと翳める断片に
  不完全なる私を思ふ



時の中目眩も起こらぬ広がりに
  ぽつんとひとつ孤独な眼差し



声の不在が恐ろしい
  深夜のビルの真っ直ぐな
    廊下を歩く意図の残骸



我々の人称不在の集合の
  行動が走る亡霊の様に



マッチ箱寄せて作った絞首台
  抽出しの奥にそっとしまう



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