薄
(
うっす
)
らと閉じた瞼を斜陽刺す
お前はまだまだ見ねばならぬと
止
(
や
)
んだ声
角
(
かど
)
のミラーに影ひとつ
通りの向こうは幻魔の世界………
融けた骨灼けた臭いが一面に
爛れてゐたる春の
川縁
(
かわべり
)
丸窓の陰より覗く矮人の
鼻孔脹らむ贄探す手付き
陶然とこの身投げ出し
獣
(
けだもの
)
に
蹂躙されてみたいと思ふ
人込みで乱され続けた想念よ
天の絵筆の作品に酔へ
白骨のやうな
石木
(
せきぼく
)
に腰掛ける
凝っと考へる何を待つ
喧騒が消え去る石がひっそりと
佇む我の風景の中に
ゆっくりと城が崩れる真っ白な
城が崩れるさらさらと吹き散る
振り向いた浜の松並み寂寥に
蟹の死骸が転がってゐたり
遠く微かになりゆく風景