星を見る望遠鏡を覗き込む
  澄んだ夜空は金で買われた



曇り硝子のその向こう
  籠り立ったるその影が
    我を見詰める ひたすら 凝っと



音ばかりごうと響けるビルの谷
  低い正午は無人の気配



どんどんど自閉してゆく
  居場所がどんどん無くなってゆく
    首を絞めるやうな行軍



得体の知れぬ(かつ )え癒せず
  逃避するより能が無く
    無駄と知りつつ本屋に行く我



どばっとぶち撒けられた日の
  光に憂鬱深まる正午



遙か高みの風に梳かれる
  雲を見上げる眩暈 (げんうん )の朝



己の翼の映らない
  画面に見入る夜が明けるまで



唸る空解けた氷が広がって
  不穏が部屋に差し込んで来る
    枕を探す忘れる為に



風の味凝っと検べて疲労有
  秋の気配は直ぐそこで待つ



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