プールサイドのやうな大気に 我慢ならない我がゐて 皮膚を切り裂くカッターナイフで |
時が満ち今までの記憶を浚ってゆく なぞる輪郭誰書き込むか |
訴へたおぼろな明かりがふっと消え 唯残るのは漠とした闇 |
恐ろしいか忘れらるのが恐ろしいか 星に名前を刻み付けたいか |
目を開けて廃墟と化した惑星の 小島に独り転がってゐたり |
彼方より来たるのか明日海越へて 立ち向かう手に恐怖再び |
蛇二匹互い呑み込み円を成す これを調和と呼ぶべきかどうか |
病院の窓から見ゑる雑踏の 余りに無名卑小で無意味 |
橋の下見上げる桁が照らされて 見下ろして来る深夜の高架 |
煙る朝破壊孕んだ腹押さえ 立ち竦む我の頭上に烏 |