恥ずかしき塗り替えと共に失はる
  幼き日々の幼き戦き



うぞうぞと(はだ )這い回る蟲の足
  のけて読んだり肉体の遺書



言葉が生まれた喜びを
  言葉に託し歌に詠む
    自足する愉しき世界………



残照に映える塊黒々と
  視界遮る不快に耐へる
    呼吸出来ずに息止めてみる



面白いやうに耳鳴る松風の
  吹く浜の夜星空見えず



書割りで描いたやうな雲を見る
  地上の風は地上に吹くか



秋の服着て瞑想に耽る木々
  新しき日へ裏切る衰退



蜂蜜を塗った刃を舐め回す
  鉄の味がする(甘美な鉄の味がする也)



古傷に痛みは無くてひたすらに
  醜いばかり也指でなぞる



日は暮れて空虚な時間はまだ続く
  濁った夜闇に笑い上げてみる



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