裏切った猫の瞳に映る顔
  遠き雲間に陽光覗き



はたはたとはためく旗に血が冴える
  求心 (ぐしん )一点宇宙収斂!



大風が頭を掃除してゆく日
  秋は近いか死は親しいか



黒い壁千切 (せんぎ )りにする反射光
  グラデーションが妄執隠して



桟の上髑髏を置いた台所
  何時かあの娘も疲れた主婦に



主無き青空の下風を受け
  くるくる回る小柄な少女
    君の名前は………



薄味の明瞭な空輪郭を
  なぞって叫ぶ「もう一度生きるぞ!」



アンテナがそっぽを向いた黒い空
  流星群が知られずに墜つ



薄衣 (うすぎぬ )を纏うた無念抱きかかえ
  水で清める皮膚の感覚



しんしんと凍える夜の悦楽よ
  コーンポタージュで舌を火傷す



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