我もまた一箇の性器と化した夏 ひたすらに唯気懈い眠り |
シミュレートした真実の開示にも 似たる食卓もの哀しくあり |
夕暮れに冷めた慕情を漂はす 微妙な距離は失意の証 |
漆喰の上に転がる蝉の声 ジジジと落ちて干涸びた殻 |
呻き声上げて目覚めた朝の霧 美しくても思い遣る無し |
欠落を抱えて歩く煉瓦道 静かな港で旅立ちを待とう 君と一緒の船に乗ろう ゆっくり ゆっくり 微笑み乍ら |
星空が我を招くよ深淵に! |
夜が来る闇奪はれた夜が来る 熱い抱擁交はす恐怖と……… |
空一面空ろな生が巨大な顔を覗かせる ぐんぐん大きくなる自失……… |
うっかりと消えた未練を引き摺り出す どうせ失うならとまた捨てる 素直に出来れば苦労はしない |