粉雪が流砂の如く積もりたり
  万年雪なら屍体も融けぬか



頽落を解放と思ふ阿呆有
  賭けが済んだら只の凡俗



ぎとぎとの腐汁垂らして歩き廻る
  既死者の旅に終わりは無くて



程々に冷えた苦痛を抱えたり
  寝床の中に現れぬ海



予め去勢されたる(おのこ )
  やけに元気な愛故に泣く



立ち枯れた稲の向こうの地平見る
  これも産業廃棄物也



海底に息を潜めて待ち受ける
  光が啓示齎す瞬間



深い青何故と問はずに吸い込めり
  闇が優しく溶けてゆく霧



牙立てる渚の(ふち )の鴎達
  見ていろと空掴めり絶叫



森の声聞かむとすれど何も無く
  木霊輝く山間 (やまあい )に殪る



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