ポイポスの()を聞き乍ら床に就く
  予定調和の夢を夢見る



黒ずんだ疲れた証明を撫でさする
  飽きた朝に溶け出した蜜



筋のごと地層のごとに走りたる
  結晶の目に舌押し当てる
    熱く脈打つ冷たき目玉



どろどろで飲み干せぬ膿絞り出す
  嬲り痛める大樹の視線



赤い核手に弄び沈鬱に
  望遠鏡を覗けども惨め



一瞬で弾けた果実無残也
  張り詰めた時もう戻らぬか



一世界黒板消しで消し去れり
  動いた影に怯える夏の夜



傷付けて溢れ噴き出す樹液飲む
  陰惨な死に陰惨な愛を



口付けてそっと啜った苦い汁
  諦めの味何処で覚えた



じくじくと虫歯のやうな頭痛する
  親しき腐敗べろり裏返す



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