竜涎の髭を巻いたりくるくると
  罵倒堪へて黙る愉しさ



凝っとする繰り返す海見た儘で
  遠い陸地の上に濁り月



傲慢の報い受けたり恥として
  やはり埋まらぬ退屈の溝



気紛れな影に形を縫い付けて
  難儀したるやひとつの生は



入り乱る全方位の矢掻い潜り
  過去へ手伸ばす君と私と



ちりちりと茜に染まる裸電球
  覗いた中に(とき )は見えるか



ぼんやりと疼き始めた因果の火
  宇宙に心開ける果て無く



うっとりと廃墟さえ無い野に立って
  快楽に酔う 強烈な喪失!



ビー玉に閉じ込めた日の輝きを
  こっそりと見る紙袋の底



文鎮を透かして見たり
  地層の重みと文字の重みと



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