くるくると回し流さる虫けらも 窒息したることもあるらむ |
髪留めに疲れた女の恨みあり 悪臭放つその化粧台 |
鴉が街灯の上で啼く 最後に盛える屍肉喰らい |
大爆発したる青空真に受けて ぽつねんと待つ我の阿呆さ |
しのついた雨に涙を希釈せり うつくしい蝶舞った痕跡 |
ひらひらと静かの海に舞い落ちる 地獄の欠片遠く眺める |
春風にそよぐ恨みはじくじくと 我と来たれや醜い仔猫 |
白い腹見せて浮かべる深海魚 空ろな眼窩に未来の腐臭 |
山に風狂う時期にはまだ早い 洞の奥にて眠れる破滅 |
雀鳴く建設中のビルの上 途切れるやうに責めるよに鳴く |