一心に亀がゴールを目指したり
  追い付けぬのは非存在の謎か



見ろこの手何と汚穢に塗れたる!



醜聞を聞かせたくない相手には
  背を向けてゆこうひっそりと生きよう



噴火する夜明けの闇に黒い影
  静かに瞑黙せり荒魂に



露重く葉をしなだらせ一面に
  虐殺の跡隠す朝方



くぐもった呻き静かに水底に
  沈めて爆ぜる冷笑の塚



逆様に吊るした軛ぶらぶらと
  風に揺れたり湖畔のボート



忌はしく濡れたハンカチ頬に当て
  呼吸する也生きてゆく也



そっと食う玉子の中身茹でたるが
  白く濁りてぷちゅっと潰れる



忘却を友とする日々平板に
  転がり落ちる私と云ふ物語



inserted by FC2 system