蹲る腹を抱えて風の中
  軽い涼気が無性に辛く



真情を言の葉に下隠したり
  自分の辞書を凝っと凝視す



日光にじわり溶け出す鈍痛を
  押さえて呻く溢れ出すシミ



けたけたと笑う欠片 (かけら )の退屈が
  伝染したり坂を転がる



沈む街気泡も立てずひっそりと
  我を窒息させたる月下



落雷の後に続ける数瞬の
  沈黙に目を瞑りて瞑せり
    絶対無知で隔てらる時間



雨上がり雫を載せた紫陽花に
  虫が這い摺る瀕死に壊れて



ぼんやりと酷く狂ってゆく儘に
  日付けが変わる悪魔が来たる



重量を無視する如きアステアの
  ビデオのスイッチブツンと切る
    酷く疲れてソファーに沈む



神の来る道に石ころ置いて邪魔
  したるは何の意図か犬神



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