錆の上軋む電車ががたごとと 音立てて行く遅い後悔 |
真っ白な溜息巨大深々と 人を呑み込む隅影の濃く |
萌え上がる芽の中に目が隠れたり 怨嗟紡いで歓喜歌ふか |
眼鏡の奥に隠された 視線さらりと躱しつつ 明日へ逃げる掴む手届かず |
ひらひらとデジタルのごと蝶が舞ふ 残像の黒未練がましく |
鬱積す赤い塊皮膚の下 固い手触り強酸で溶かす |
育て損ねたメランコリーが くしゃみと共に弾け飛ぶ |
唸る空如何にも大儀そうな雲 出そうな虹を鼻先で笑う |
茹だる夜冷たいパインを飲み干せり 一時の冷に深まる倦怠 |
歩き行く角度を変える柱達 長い直線照明暗く |