ビルの間にたぷんと沈む夕陽見る
  重い頭に真っ赤な釘



ずきずきと疼く恥辱が蘇へる
  身を投げ出して投げ遺りに死ぬ



電話鳴る静寂 (しじま )切り裂き耳障り
  如何様にでも侵入する音



切り捨てた筈の未練が腹痛と
  なって目覚める深夜午前四時



真っ青な顔でトイレを出た後の
  窓の外には白い月輝く



冷凍化された伝統うじうじと
  真空パックにして運ぶクズ
    (いず )れの時代残るのか明日



物憂げな激情抱え口付ける
  頽落の味知った後でも



ずんぐりと醜い短躯の嫉妬の根
  育てれば太るぶくぶくぶくぶく



気が付けば写真の中の見知らぬ人
  偽善の距離は更に遠くに



白雪 (はくせつ )に足跡つけた後味の
  悪い明け方屍体も凍って



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