頼むから違う苦痛にしてくれと
  希へど我に選択権無く



一言の(おん )の流れに涙する
  そこで終わった無気力な思考



原無知に貫かれたる眼差しが
  交叉しないでぽとりと落ちる
    闇に紛れて姿を隠す



温かな微風に混じる湿り気に
  嫌悪隠さず嘔吐した夏
    腰の辺りに蟠る軋み



繙いた秘密の鍵を呑み込んで
  唸る頭痛に蹲る園



捻子を巻く白子の蛇がころころと
  螺旋描いて時遡る
    燃える社に悲鳴上がらず



ぐるぐると久遠の音色響き止まず
  暗い舞台に燃え盛る炎



一瞬の華を捉へて記憶する
  波がうねって時間呑み込む



てけてけと走る仔犬の後を追ふ
  かなしき遊び覚へた子供



ゆっくりと斜に寛いで滝を見る
  跳ねる飛沫に物憂げな虹



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