じわじわと広がる雲に痕が見ゆ
  腐れ毀れる鮭色の切り口



永劫がのっと顔出す山の端に
  退屈が目を流し寝そべる
    カンカンカンと警笛が鳴る



貴方にも味わわせたい白の汚穢
  禊隠れて哄笑する我



スイッチを入れて言葉を紡ぎ出す
  私の知らない神が喋くる



十全な穢れ真白い祭壇に
  捧げて踊る君の頽落



旗を振る静かに病()して乗る
  青醒めた死に美しい相手を



こそこそと沈む夕日が背に滲みる
  巨大な眠り眠りたる街



凝然と彼方の島を眺め遣る
  死者の境に群れ集う天使



赤日に煮(にこご )りたるや死者の腹
  山の逢魔に腐爛する(とき )



ギタギタにブツ切りにした竜の髄
  煮込んで食べる春の憂鬱



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