俗々し祭の後にぐったりと
  日は昇らずに深くなるのみ



禍々し玉の内部を透かし見る
  沈む世界の遠い思い出



二心 (ふたごころ )無いと貴方は言うけれど
  別れた視線はどうしようもなく



しっかりと弾む夏草根こそぎに
  して楽しやな不妊の調べ



愉悦抱えて潜りたる
  消尽の夜捻じくれて
    生きた裸体に静闇の姿



赤土の大地に斃る月の影
  化石化したる怒りを浚う
    呪詛滾々と湧き出でる泉



ハラハラと落ちた松葉を踏み付けて
  のしのし歩く世界背負いて



一心に封を結べる犬の(たま )
  裏切られたることを恨むか



実測を拒否した服を何時までも
  着たる我にも春は来たるや



風の種掌の上ころころと
  見詰め続ける我は無能だ!



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