犬の声聞いた目玉の静脈が
  ぴくぴく震える涎に血の泡



黒々と口を開けたる卵の顔
  根っこ張りたる狡猾な奇木 (きぎ )



彼方には我と同じく目玉Tなる
  存在在るか冷えた素麺 (そうめん )



止まったクーラー叩き壊し
  肉にがぶりと齧り付いて呑む
    この肉体が我なのか!
      この悍ましいものが我なのか!



見よや我お前の芯は腐りつつ
  あるのだ今も糸引き乍ら



墓場には墓場の作法があるものだ
  礼儀知らずの瀕死の若者



人格化した退屈に手を上げて
  下らぬ神に嘲りひとつ



爪を研ぐ獲物その目に()らぬ内
  惰性で日課続けて殺せり



冷え冷えと震える星の夜明け前
  大地に巨躯を曝して死せり



ずっしりと掌に石重く載せ
  悔やむ縫い目に血の流れたる



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