ボロボロの手帖捲りて疲れたる
  残り頁を数えて止める
    ペンの呪いは果てること無く



眼差しを交はすことさえ出来なくて
  疎絶した顔鏡に映す
    白い航跡ぶくぶくと絶えず



裏地には秘めた想いの隠れたる
  辞書のケースは嘲弄で満ちて
    姿見せない無言の絶望



代理にて殺した彼と寺の庭
  落ちた紅葉 (もみじ )が雨に濡れたり



内に向く視線返して祝祭を
  開く今宵の贄は誰の子



おろおろとすることもせず蹌踉と
  荒野を往けり血に飢え渇いて



醜悪な鏡に映る醜態を
  直視も出来ぬ微妙な若さ
    湿気の向こうにブレた戒律



逡巡を落として響く鈴の音に
  何時までも我捉はるる哉



選択肢ひとつも無いのか現実は
  いいだろうその贄を喰おうか



恥じらいの込もった不安にまだ高く
  救われる我恐らく偽瞞



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