肉の蓋閉じぬ霊性に失望し
  霧の向こうを夢見て()めず



永劫の記憶眩みて立ち尽くす
  巨大なオリオン架かったのは何時 (いつ )



躊躇いも無く移り行く車窓際
  ペンを執る手は憂鬱に震え



実態を置き去りにしたエルサレム
  新しき日が矛盾を晒す
    歴史に天上建つる傲慢



暗曇にぼうと光れる裸電球
  浮かんだ輪郭小さく震え



何もかもブレた雨降る前の午後
  枯れた鳥居の境ぼやけて



鳥肌に厭な汗かく黒い目の
  腹痛と我天秤にかける
    橋桁で烏が啼く 畜生



諦念が静かに弛む草原に
  我独り立つ金色の鐘



過ぎ行くか平原走る汽車の影
  消え行く街に現れる街
    如何程の違いがあろうか



雪に雲切り刻む影斜面行く
  アイスバーンに愉快の赤が



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