氷れるハンカチ手に取って
  血痕拭う手遅れなれど
    白い眼窩は出口か入口か



オーロラの色調消えて闇が来る
  真っ赤な闇が天と地覆う
    愉しい宴が始まりつつある



氷水満たした池の真ん中に
  船を浮かべる小さな船を
    腹向けた蛙押されて動く



熱的死迎へる星の連星に
  立てる牙には知恵はあるか



奪取した明かり追い風背に受けて
  水は輝く薄闇の底



ぼくぼくと酸素が海を削り取る
  水が生まれる青の冥想



ぬるい水浸した両手に喰らい込む
  薄い倦怠波紋に煌めく



白い床転がした樽弾け飛ぶ
  アイスクリーム食べたベンチに
    潮の腐食は居眠りしたる



がやがやと消費の市の夜歩く
  急かされる儘何処にも入れず



静寂 (しじま )聞く我等の声は押し潰れ
  敗残の身をせめて気高く



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