地を継げる冷たき骸微笑みて
  微笑み返す我の肋骨



高々と吊り上げられた腐爛死体
  何を証言するのか皆に



ぞわぞわとおぞめく触手が全身に
  根を張る朝が腐ってゆく目



大群と成したる蛆に顔の無く
  溢れた墓地は賑やかに今日も



蕩け出す脳漿帽子に詰まる暮れ
  冷気無くては生きる能はず



くだくだと狐が嗤う十月の
  落ち葉の中に蟲が湧いたり
    じとり広がる汚穢の腐汁



高山に露を降らせる流れ星
  手にした花の名を知らず泣く



じんわりと懈い西陽を避けられず
  身体 (からだ )引き摺る重い失意を



重量が影の背負へる半分の
  蟋蟀 (きりぎりす )鳴く月は怜悧に



深甚な疵をその背に受けた魔よ
  曇る眼鏡に遠くなる哉



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