ささやかな殺戮終えて空仰ぐ
  生きた輪廻とはこう云うものか



黴の生遊星巡る川の数
  死んだ幻覚小さな孤島



凶々し鈴の音を聞く糧の(たま )
  大気圏には餌の残骸



ひたひたと解けて零れる氷塊が
  ドライアイスの舌を灼いたり
    ピンク色の肉冷気に焙る



ぐつぐつと固まる恐怖手にはペン
  発狂する前に扉を開く



湿った凪の底深く
  沈む髑髏の憂鬱は
    ケタケタ嗤う誰にも知られず



げっそりと落ちた頬肉撫で乍ら
  腿肉に歯を立てたり嫌悪



濃紺の濁った大陸棚の上
  肺魚啄む死体は誰の



金環の燃え立つフレア闇を裂き
  ガラス張りの部屋の我照らす



深夜二時高架下を独り行く
  傍に連れ立つ影がひとつ



inserted by FC2 system