雲ひとつ無く霞む青高々と
  絞首台には昨日の死体



ぐっぷりとはまる深みに足取られ
  祝典楚々と行はる性



湿気た気に虚しく満ちる柔風は
  何処 (いずこ )へ吹けるどよどよと()



二柱名前刻んで墓碑銘の
  途中で何もかもが面倒
    いっそ名前を消してやろうか



おゝ鷹よ転べども我天高く
  飛ぶを覚へり元には戻れぬ



脆弱な嬰児に何が出来るものか
  未来を見るのは動物ではない



ハッとして掴むボールの中を割る
  金と砂糖で詰まったお菓子



きらきらと沈む夕日に波が映え
  ぎらぎらと沈む夕陽に魔が生える
    緋色の結晶を口に含む



ほろほろと首肯したるは有限の
  身のかなしさよピーナツを食う



入念に化粧施し着物着せ
  生者は生者であらねばならぬ



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