苦痛とも快楽ともつかぬ舌
  覚めてみたれば夢のごとくに



喪失を何度も何度も夢に見る
  人種にだけしか解らぬ快楽 (けらく )
    今日も失意の裡に賞味す



牙立てて甘噛みしたる喉の肉
  萎えぬ英気に炎踊れり



束の間の栄光マント剥いでみる
  真新しき(むくろ )が転がる



螺旋成す知識繙く堂々と
  居直ってやる「私には解けない」



「お茶を濁しているだけ」と
  批難躱せずしょんぼりと
    今日ももの書く何故かせっせと



冷やかにカッと晴れたる白い空
  撒き散らされた無駄死にの種



脈動す赤き衣を火に()べて
  我と叫べや夜闇照らす死



塵芥に白む地平を骨だけの
  恐龍が行く霞む列石



ぐつぐつと煮えて固まる日常が
  凝っと見詰める焦点合わずに



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