ぽかぽかと白痴のやうな暖かさ
  媚びる独裁者は(さか )えたるか



濁り川木馬運んで行く流れ
  騎手を呑み込む不透明な水



森を見て木を見ぬ生を送る群集
  それならそれで遣り様はある!



うっすらと脳の皮膜を覆いたる
  憂鬱糧に生きるのか今日も



天覆う愚鈍な色に溶け込んだ
  我の愚鈍は誰が救へり
    痴考ばかりが掌に残る



フィクション化された戦争美化を観て
  今度の思想は幾らで売れる



奇声上げ泥水の中を跳ね回る
  子等に未来は託されているのか



ごろごろと薄汚れたる天空に
  摩擦起こりて大騒ぎする
    彼方の星のことなど忘れる



煮凝れるビーフシチューを掻き混ぜる
  冷たくてもう手遅れなのに



要求を容れて静かに微笑んだ
  口許に見る矛盾に金釘
    断絶したるふたつの世界



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