ずきずきと痛む頭を抱えつつ
  雨上がり後の殺戮眺める



白い獣の背中には
  私がつけた瑕ひとつ
    それとも只の幻覚だろうか



膚を這う虫の呼吸が苦痛呼ぶ
  まだ尚生きているのか私は



ぎりぎりと締め付けて来る万力を
  叩き割りたい満天の赤



嘔吐する不作(かこ )って鏡見る
  言葉無ければ死んだも同じ



肉を喰う曾て一個の生き物を
  動かしていた肉を喰う
    むしゃむしゃ がりがり



輝ける翼裸身に纏いたる
  彼の手にはやはり剣が



下腹を焦がす疼きに膝屈し
  足にキスする放下と象徴



ぴたぴたとしのつく雨に紙破る
  どうせ善人にはなれぬ身だ



胸を搗く郷愁更に深まれり
  何も失ってはいないのに



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