ブラインド降ろしてそっと覗き見る
  曝け出された秘めたる倦怠



固まった血の契約を筐底に
  仕舞いとにかく今日を生き抜く



ざわめいた林を駆ける非在の火
  我は確かにここに居るのか



濡れそぼる服も本もその儘に
  夕闇の中笑いつつ往く
    皮膚に貼り付く冷たき刃



白々と明ける東に星ひとつ
  恨むな君よ近視の(まなこ )



必死になって言葉埋め
  生活意味で満たしたく
    確たる記憶への不信
      助長したれり果て無き苦役



痛みでも眠気払へぬ日の午後は
  両手投げ出し山の端を見る
    片手を掛けた怪物を呼ぶ(返事ナシ)



炉の様に疼く頭痛に曇天を
  見上げて猫の腹を切り裂く



ぐちゃぐちゃの内臓に腕突っ込んで
  もう沢山と拳固める
    傷を縫っても血が溢れ出す



頽落を愉しと思ふ溶けた夜
  寝床の中で睦む本は何



inserted by FC2 system