片羽をもがれたる蝶ばたばたと
  標本箱のピンにのたうつ



この空は天が与えた好機かも
  死出の旅路にはもってこいだ



しとしとと幕引く流れそよと分け
  目の亡霊と化す虚空間 (きょくうかん )



輪郭のぼっと弾ける水の跡
  轢いたタイヤは燃え上がっているか



ざっと来る雨が唄へるその動き
  まるで解らぬ()も表せぬ!



ソファの腕うたた寝したる憂鬱の
  引き摺り込まれた悪夢恐ろし



狂いたる我の赤児に手を出すな
  犬の目玉が牙を剥くぞ



幻暈 (げんうん )に眩む空には縦長に
  口を開いた若木の嘲笑



零れる手凝っとだらだら流れさす
  どう足掻いても手遅れな生



織糸に因子絡めて考える
  世界の多様性と広がり



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