振り返る彼の目に燃ゆ憎しみを 鏡に映す怒りを込めて |
森の秘儀隠して喰らふ赤い実を ぷちゅっと潰す我は王也 |
下腹を照らさるる磐風靡き 黄色の怨嗟木々を散らせり |
倦怠の余り浸蝕される脳 画像と音が言葉を駆逐す |
疎外さる過去と現在に見切りつけ 未来引き寄せがっちり掴む |
彎曲したる帽子の中に 虻が一匹止まりけり 何を刺す気かこのソクラテス |
穴開けて風通し良くしたる胸 木枯らし吹いて案山子倒れる |
谷間から鋭く漏れる陽を受けて 日射病で倒れたる我 拳握った中の空白 |
ガラガラと崩るる虹の残骸を 集めて飲める黒の結晶 |
紫の歓喜に染まる神官が 待ち草臥れて星を殺せり 雲を切り裂く鋭い光芒 |