一つひとつ「発見」さるる無数の種
  先立つ生活幾重にも失はれ



警告を無視して赤い血脈が
  鉄骨の上月に微笑む



ぎらぎらと昼を切り裂く残照に
  半身晒す蝙蝠の身で



漂流す白き汐に身を委ね
  回る天体ぼやけて見ゆる



つらつらとソファに沈んで思い返す
  最近に見た悪夢の数々
    緊度を保つその質と深さ



そっくりな連中の顔一様に
  歓声浴びて喚き立てたり
    力強くて空疎な言葉



箱庭に雪が積もれりガチガチに
  固めた玉で脇腹を穿つ



立った儘死した勇者に別れ告げ
  ナイルを下る支流の支流



切り立った崖にいそいそ荷物持ち
  汗かき乍ら向かう我
    頭上の青空嘘の様に高く



逡巡を糧に変へたる牙三つ
  血の一滴を時と置き換え



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