旋律に乗せて真空駆け抜ける
  呪言 (じゅごん )放った我の屈辱



死んだ日の熱気の中に立ち尽くす
  鞄の底の洋書の書き込み
    思い出そうと彷徨続ける



光条に寸断された黒いモノ
  何としてでも遠ざけんとす



ボロボロに崩るノートの一葉に
  顔を描き込む誰かの顔を



夕芒に浮かぶ城壁仰ぎ見て
  力無く悪態吐いてみる



ガチャガチャと食う人足のシルエット
  墓石の上に追悼も無く



石の花(いだ )きて眠る茨姫
  氷の接吻で殺す快感



増殖す悪意の霧に身を包み
  助けを求めて叫べども尚
    (いら )ふ声無く伸ばさるる手無く



悍ましき穢れ凝り固まりて我
  その肩を抱くことも能はず



ガタゴトと死火山遠くなりにけり
  雪は汚いぬかるみになり



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